支援事例:トラットリア・ダ・ソリーヴォ(東金市)
イタリア料理店 メニュー改定とPRで売り上げ3割アップ
トラットリア・ダ・ソリーヴォ
藤波 亮治(ふじなみ りょうじ)様
拠点:千葉県東金市
業種:飲食業
【相談内容・きっかけ】
トラットリア・ダ・ソリーヴォは千葉県東金市の丘の上にある「隠れ家」のようなイタリア料理店。地元の食材を使って本格的なイタリアンを提供しているが、顧客へのアピールが上手くできておらず店の特徴が出せないことを課題として持っていたところ、同業者からよろず支援の評判を聞き、東金商工会議所のサテライト相談を利用した。
【支援担当者】
千葉県よろず支援拠点 コーディネーター フードコーディネーター
稲垣 美和(いながき みわ)
課題の整理と分析
店舗がある東金市は千葉県の山武という地域に含まれ、全国でも有数の食糧自給率を誇る。無農薬の野菜を作り続ける農家、九十九里漁港であがる新鮮な鮮魚、地元の畜産農家で鶏豚牛全てが賄えるなど、ブランド化されつつある地元の食材が多くの方に知られていない状況である。「地域の食材」「地域の生産者」をもっと近くに感じていただきたいという思いで、様々な食材を生産者から直接仕入れる事でコストを削減し、少しでもリーズナブルに提供できるよう日々努力を重ねている。
しかし、それらの特徴をうまくアピールできておらず、店のHPなどネット情報が整備されていなかった。また、『売りになる看板メニュー』が絞り込めておらず、お店のアピールポイントがはっきりしなかった。
<課題>
・料理のコンセプトがはっきりとしていない
・ランチの集客、客単価を上げたい
・来店動機につながる『売りになる看板メニュー』を決める
・メニューブックの作成方法や構成について悩んでいる
・HPなど情報発信できる状況を整える など
上記のような素材の強みや本格的なイタリアンを提供していることをアピールできるよう、コンセプトの明確化とそれを表現するメニューブック、ホームページの作成を行うこととなった。
解決策の提案と実施
【コーディネーターが提案したこと】
上記の課題を解消するために、お店の強みの検討やアピール方法についてアドバイスを行い、店主自身で進められるよう伴走支援を行った。
①強みのアピール
地元の良い食材を使った『産地ならではのイタリアン』をアピールするために、食材や生産者の情報をメニューブックやHPでアピールしていく。参考になりそうな店を紹介し、実際のメニュー構成やメニューブックなどを研究していただいた。
②メニューの改良
客数を増やすために1000円を切るランチメニューの導入、ランチメニューに幅を持たせることで客単価の底上げを図る。また、前菜の盛り合わせを売りメニューにしてはどうか?という話し合いの中で、盛り付けの参考になる事例を紹介した。
③メニューブックの改良
メニューブックに利用する写真については、よろず支援拠点で開催している料理写真の撮り方のセミナーを受講いただき習得してもらう。手軽に見栄えの良いメニューが作成できるツール(パワポン)などのご紹介した。
④Webでの情報発信
Jimdoを使った無料で始められるHP作成や、検索に有効なキーワードのサイト内活用、見込み客獲得のためのGoogleマイビジネスの登録と活用などについてアドバイスした。
提案を受けて相談者が実行したこと
①メニューブックのリニューアル。食材や生産者情報をメニューブックに盛り込み、料理の説明などにもこだわりをアピールして差別化を図った。
②980〜2890円の幅広いランチ価格を展開した。前菜10種盛りなど、地域の食材を目でも楽しめるメニューとして導入した。
③料理写真の撮り方と加工の仕方をセミナーで習得。すぐにメニュー写真を撮り直して活用した。
④JimdoでHPを作成しアップした。『東金・イタリアン』など有効なキーワードをHPで展開、Googleマイビジネスへのオーナー登録と写真や情報のアップ、facebookページの活用などを行った。
支援の成果
東金商工会議所の片岡経営指導員のサポートのもと、上記の取り組みを継続して行った。その結果オープン時と比べて8割程度に落ち込んでいた売り上げが徐々に回復し、他県からの集客にも繋がったので客数の伸びを実感しているとのこと。売り上げも2019年2月現在で前年比135%と伸びを見せている。ランチの客数が伸び客単価も上がった。それに従い夜の売り上げも伸びている。
前菜の盛り合わせをネット情報で見たという客からランチの予約が増えるなど、売りメニューを打ち出した効果も出ており、ネット経由の来店客は確実に伸びている。HPなどでの料理写真が格段に良くなり、美味しさを伝えられる様になった。
食材の情報など以前は接客の中で説明していたが、顧客が読めるメニューになったことでオペレーションの負担軽減にも繋がった。
ご相談者様の声
専門知識のある複数のコーディネーターにアドバイスをもらい、一つずつ課題に取り組んだ結果、客数、売り上げとも伸びを実感している。さらなるブラッシュアップに向けてメニュー表をより良いものにリニューアルをする、鮮度感のある情報をSNSへ発信するなどを行っていく予定。2018年9月に千葉市おゆみ野に2号店『ラ・ミシェル』をオープンしたが、2号店はまだ取り組み途中なので、今までのノウハウを生かして新たな顧客獲得へ取り組みたい。
支援のポイント
『伝える工夫と努力』
どんなに良い食材を使っても、料理が美味しくても口コミだけではなかなか集客に繋がらない時代において、美味しさを表現する写真、食材の情報、効果的なネットへの情報提供など一連の流れを途切れさす事なく繋げていけたことが効果として現れた事例。
連携支援機関、複数のコーディネーターによるチーム支援で相談者の抱える課題に取り組むことが今後も必要。