支援事例:有限会社 アルガマリーナ(鴨川市)
補助金を活用したブランディングと広報戦略
有限会社アルガマリーナ
金髙 武夫(かねたか たけお)様
拠点:千葉県鴨川市
業種:飲食業・食品製造業
【相談内容・きっかけ】
30年間漁師だった代表がリタイア後、「魚食のよさを伝え、地域を活性化させたい」との思いで、食品加工販売業を開始。食品としての利用度の低いカタクチイワシや小型のゴマサバなど使用し無添加に拘った商品づくりを続けてきた。それぞれの商品は、数々の表彰を受け高く評価されてきた。平成16年11月に事業を法人化。平成18年4月に食堂兼加工場の“海の食処「なむら」”を開業し現在に至る。売上拡大について相談するため、館山信用金庫で開催しているよろず支援拠点サテライト相談に参加した。
【支援担当者】
千葉県よろず支援拠点 コーディネーター
上坂 理(うえさか おさむ)
課題の整理と分析
当社の商品はこれまで数多くの権威ある賞を受賞し、高い評価を受けてきたが、結果的に受注に結びつかず、売上は低迷したままとなっている。この原因は、①バイヤー目線の欠如、②人員不足による継続した営業が困難、③PR不足と分析する。
解決策の提案と実施
【コーディネーターが提案したこと】
商品を確実に受注に繋げ、食堂と商品の相乗効果も図りながら、売上前年比30%アップの目標設定を行った。次に、小規模事業者持続化補助金を活用して外部デザイナーに依頼して以下の販促物を制作し、広報活動に取り組むこととした。
提案を受けて相談者が実行したこと
上記の提案をうけて、コーディネーター、館山信用金庫経営支援部(溝口氏)、南房総市朝夷商工会(鈴木氏)の協力を受け、外部デザイナーとともに以下を実行した。
①外看板・タペストリーによるアイキャッチと導線づくり
②スマホ・SNS時代に対応したWebサイト(ランディングページ)の開設
③都市部の百貨店食品部、高級スーパーを販路のターゲットと定め、既存商品パッケージの全面的な見直しを行う。具体的には、商品ロゴ、シールデザイン、包装。
支援の成果
タペストリーによる広告効果で「イワシ漬け定食」を目当てにした来客が週当たり数名増えた。
Webについては、販売促進のためのランディングページを設けたことにより、バイヤーへの告知がしやすくなり、店舗のブランディングに繋がった。
千葉県内信用金庫主催の「しんきん食の相談会」に出展し、個別商談会にて5社のバイヤーと商談を行い、うち1社よりギフト商品の引き合いを得た。
ご相談者様の声
これまで様々な公的支援機関からのサポートを受けてきたが、なかなか成果に結びつかなかった。今回のよろず支援拠点の提案に心から共感し、最後のチャンスと思って掛けてみることにした。
支援のポイント
相談者は「良いものだから売れる」といったプロダクトアウトの発想で商品開発を行ってきたが、マーケティングの面から「どうしたら売れるか」を一緒に考え、その仕組みづくりを提供した。相談者の開発した水産加工品の商品はこれまで数々の表彰を受け高く評価されてきたため、相談者のプライドを傷つけぬように留意しながら、「なぜ売れないか」の原因分析と解決法を一緒になって考えた。また、商品開発の根源にある魚食文化継承や低利用水産資源の活用といった相談者の思いを尊重し、そうしたコンセプトを外部デザイナーと共有できるよう支援を行った。